宅地建物取引業法

重要事項説明における都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限

都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限

不動産取引の重要事項説明では、法令、条例等による制限について説明を行わなければなりません。宅地建物取引業法第35条第1項第2号は、都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限のうち、政令で定めるものに関する事項の概要を説明することを定めています。政令とは、宅地建物取引業法施行令のことであり、宅地建物取引業法施行令第3条第1項には説明しなければならない法令とその法令による制限が定められています。

その他の法令は追加されて増え続けている

2025年4月1日、宅地建物取引業法施行令第3条が改正されました。宅地建物取引業法施行令第3条第1項により説明を義務付けられている法令は都市計画法、建築基準法、その他の法令62、合計64となりました。(下表を参照)かなり多い数です。しかも、年々、新しい法令が追加され続けています。令和7年4月1日付で『地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律』が新たに加わりました。(35号に挿入)追加される法令の多くは防災に関する法令、都市再生、地域再生など、現在の日本において社会問題化していることに対処する法令が多くなっています。今後もさらに増えていくはずです。

説明が必要な法令の理解と改正情報の確認

各法令の第何条について説明すべきか決まっているので、その法令のすべてを知っておく必要はありません。法令によっては、ごく限られた地域でしか適用がない法令もあります。通常の不動産取引では、都市計画法と建築基準法以外で説明を要する法令はそれほど多くはなく、私の経験では多くても5つぐらいです。不動産業は地域密着型のビジネスなので、その営業地域が限定されており、その営業地域で適用される法令さえしっかり説明できれば事足りると言えます。しかし、各法令の制限についてはひととおり理解しておくべきでしょう。万が一、法令による制限を見逃し、重要事項説明において説明ができていなければ責任を問われます。また、各法令は頻繁に改正されますので、改正情報が出たら、その都度、内容を確認しておく必要があります。

号番号の枝番号解消

宅地建物取引業法施行令が改正された際(令和4年2月20日施行)、宅地建物取引業法施行令第2条の5及び第3条第1項の号番号の枝番号が解消されました。
今までは重要事項説明書のその他法令の表に号番号の枝番が記載されていましたが、枝番号が無くなったことですっきりしました。

法令一覧

 

都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限、法令一覧
法令
1 都市計画法
2 建築基準法
3 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法
4 都市緑地法
5 生産緑地法
6 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法
7 景観法
8 土地区画整理法
9 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法
10 地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律
11 被災市街地復興特別措置法
12 新住宅市街地開発法
13 新都市基盤整備法
14 旧公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律
15 首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律
16 近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律
17 流通業務市街地の整備に関する法律
18 都市再開発法
19 幹線道路の沿道の整備に関する法律
20 集落地域整備法
21 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律
22 地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律
23 港湾法
24 住宅地区改良法
25 公有地の拡大の推進に関する法律
26 農地法
27 宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)
28 マンションの建替え等の円滑化に関する法律
29 長期優良住宅の普及の促進に関する法律
30 都市公園法
31 自然公園法
32 首都圏近郊緑地保全法
33 近畿圏の保全区域の整備に関する法律
34 都市の低炭素化の促進に関する法律
35 地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律
36 水防法
37 下水道法
38 河川法
39 特定都市河川浸水被害対策法
40 海岸法
41 津波防災地域づくりに関する法律
42 砂防法
43 地すべり等防止法
44 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(急傾斜地法)
45 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)
46 森林法
47 森林経営管理法
48 道路法
49 踏切道改良促進法
50 全国新幹線鉄道整備法
51 土地収用法
52 文化財保護法
53 航空法
54 国土利用計画法(国土法)
55 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
56 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
57 土壌汚染対策法
58 都市再生特別措置法
59 地域再生法
60 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律
61 災害対策基本法
62 東日本大震災復興特別区域法
63 大規模災害からの復興に関する法律
64 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(重要土地等調査法)

国土交通省公表のリンク集

国土交通省のホームページでは、都道府県の宅地建物取引業法第35条に定める重要事項説明における法令に基づく制限等に係る照会先へのリンク集が公表されており、随時更新されています。
重要事項説明における法令に基づく制限等に係る照会先一覧(都道府県別)

条文

宅地建物取引業法 第35条第1項第2号
(重要事項の説明等)
第三十五条 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
二 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。以下この条において同じ。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

菊池 英司

投稿者の記事一覧

一級ファイナンシャル・プランニング技能士
公認不動産コンサルティングマスター
宅地建物取引士

不動産分野を専門とするファイナンシャルプランナー。不動産FP。
個人向けに不動産投資、不動産有効活用、住宅購入・売却のアドバイス、セミナー等を行っているほか、売買契約書や重要事項説明書の作成、不動産調査等を不動産業者、不動産鑑定士、弁護士、税理士から受託している。
2008年から空き家・留守宅管理の専門サイト「留守宅どっとネット」を運営し、自ら空き家管理の実務も行う空き家管理人。

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