目次
重要事項説明における航空法の説明
不動産取引時の重要事項説明では、宅地建物取引業法第35条第1項第2号及び宅地建物取引業法施行令第3条第1項第52号により、航空法による制限について説明しなければなりません。
重要事項説明における航空法の説明では、空港名、制限表面の種類、制限高(海抜高)を示し、制限高以上の高さの建造物、植物その他の物件を設置し、植栽し、又は留置してはならないことを説明します。
宅地建物取引業法施行令第3条第1項第52号で定められている説明すべき航空法の条文は次の2つです。
一つ目は、航空法第49条第1項。
航空法第49条第1項は、進入表面、転移表面、水平表面の3つの制限表面に関する高さ制限について定められています。
水平表面の半径は4,000m。空港から4㎞以内の地域内における高さ制限です。
二つ目は、航空法第56条の3第1項。
航空法第56条の3第1項では、延長進入表面、円錐表面、外側水平表面の3つの制限表面に関する高さ制限について定められています。
外側水平表面の半径は24,000m。空港から24㎞以内の地域内で上記の航空法第49条第1項で定める進入表面、転移表面、水平表面以外の制限表面が設定されている地域の高さ制限について定められています。
説明義務があるのは、進入表面、転移表面、水平表面、延長進入表面、円錐表面、外側水平表面の6つの制限表面に関する高さ制限についてです。
空港だけでなく、ヘリポートも航空法に基づく制限表面の指定があります。
空港の規模に関係なく、航空機等が離発着する空港、ヘリポートには制限表面があり、重要事項説明の必要があります。
制限表面
【参考】
国土交通省 東京航空局 「空港周辺における建物等設置の制限(制限表面)」
国土交通省 大阪航空局 「空港周辺における建物等設置の制限(制限表面)」
重要事項説明書の記載例
重要事項説明書において、航空法の制限について説明する場合の文例です。文例は大阪国際空港(伊丹空港)の場合です。
「本物件の上空は、航空法に基づく〇〇空港の〇〇表面に該当します。航空法の定めにより、海抜高約〇〇mを超える建造物、植物、その他の物件を設置し、植栽し、又は留置することはできません。」
植物、植栽についての記述は、航空法の条文に倣ったものです。
航空法の影響を受ける不動産取引
個人の住宅やマンションなど一般的な不動産取引では、航空法による高さ制限の影響を受けることはほとんどありません。
影響を受ける可能性があるのは次の3つのケースです。
・空港、滑走路に近い不動産
・上空に制限表面の設定がある不動産で高層ビルを建築する場合
・上空に制限表面の設定がある空港に近い不動産で海抜高(標高)の高い場所にある場合
特に空港、滑走路近くの不動産は要注意です。
制限表面が低くなるため、木が制限表面の上に出ることがあり得ます。
以前、静岡空港ができた際、滑走路の先にある立木が、制限表面の上にでる高さだったものの、土地の所有者が木を切ってくれないと揉めたことがありました。
条文
宅地建物取引業法 第35条(重要事項の説明等)
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。二 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。以下この条において同じ。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要
宅地建物取引業法施行令 第3条 (法第35条第1項第2号の法令に基づく制限)
法第三十五条第一項第二号の法令に基づく制限で政令で定めるものは、宅地又は建物の貸借の契約以外の契約については、次に掲げる法律の規定(これらの規定に基づく命令及び条例の規定を含む。)に基づく制限で当該宅地又は建物に係るもの及び都市計画法施行法(昭和四十三年法律第百一号)第三十八条第三項の規定により、なお従前の例によるものとされる緑地地域内における建築物又は土地に関する工事若しくは権利に関する制限(同法第二十六条及び第二十八条の規定により同法第三十八条第三項の規定の例によるものとされるものを含む。)で当該宅地又は建物に係るものとする。五十三 航空法第四十九条第一項(同法第五十五条の二第三項又は自衛隊法第百七条第二項において準用する場合を含む。)及び第五十六条の三第一項
航空法
第49条(物件の制限等)
一 何人も、空港について第40条(第43条第2項において準用する場合を含む。)の告示があつた後においては、その告示で示された進入表面、転移表面又は水平表面(これらの投影面が一致する部分については、これらのうち最も低い表面とする。)の上に出る高さの建造物(その告示の際現に建造中である建造物の当該建造工事に係る部分を除く。)、植物その他の物件を設置し、植栽し、又は留置してはならない。ただし、仮設物その他の国土交通省令で定める物件(進入表面又は転移表面に係るものを除く。)で空港の設置者の承認を受けて設置し又は留置するもの及び供用開始の予定期日前に除去される物件については、この限りでない。第56条の3
一 何人も、第56条第1項に規定する空港について前条第2項において準用する第40条の告示があつた後においては、その告示で示された延長進入表面、円錐表面又は外側水平表面(これらの投影面が一致する部分については、これらのうち最も低い表面とする。)の上に出る高さの建造物(その告示の際現に建造中である建造物の当該建造工事に係る部分を除く。)、植物その他の物件を設置し、植栽し、又は留置してはならない。
進入表面、転移表面、水平表面の指定がある空港
航空法に定める空港には、航空法第49条により、進入表面、転移表面、水平表面の3つの制限表面が指定されています。
航空法第49条では空港とだけ記載があり、具体的にどの空港についてなのかは記載がありません。
そもそも、航空法における空港とはどこの空港なのか、空港についての定義を確認しなければなりません。
航空法第2条第4項には、空港についての定義が記載されています。航空法における空港とは、空港法における空港と同じということがわかります。
航空法と空港法における空港の定義は、「公共の用に供する飛行場」ということになります。
「公共の用に供する飛行場」とは、旅客機等の離発着に使われており、民間が利用できる空港のことだと考えてよいと思います。
この空港には、ヘリポートも含まれます。
航空法第2条
4 この法律において「空港」とは、空港法(昭和三十一年法律第八十号)第二条に規定する空港をいう。
空港法第2条
(定義)
第二条 この法律において「空港」とは、公共の用に供する飛行場(附則第二条第一項の政令で定める飛行場を除く。)をいう。
延長進入表面、円錐すい表面、外側水平表面の指定ができる空港
航空法第56条の3第1項の制限は、航空法第56条第1項に規定する空港について適用される旨が定められています。
航空法第56条第1項に規定する空港では、進入表面、転移表面、水平表面のほかに、延長進入表面、円錐すい表面、外側水平表面を指定することができます。
(空港法第四条第一項第一号から第五号までに掲げる空港等の特例)
第五十六条 国土交通大臣は、空港法第四条第一項第一号から第五号までに掲げる空港並びに同項第六号に掲げる空港及び同法第五条第一項に規定する地方管理空港のうち政令で定める空港について、延長進入表面、円錐すい表面又は外側水平表面を指定することができる。
第56条第1項に規定する空港とは、具体的には以下の空港のことです。
空港法第4条第1項第1号~第5号までに掲げる空港
第1号 成田国際空港
第2号 東京国際空港(羽田空港)
第3号 中部国際空港
第4号 関西国際空港
第5号 大阪国際空港(伊丹空港)
空港法第4条第6号に掲げる空港及び同法第5条第1項に規定する地方管理空港のうち政令で定める空港
・釧路空港
・函館空港
・仙台空港
・新潟空港
・大阪国際空港
・松山空港
・福岡空港
・北九州空港
・長崎空港
・熊本空港
・大分空港
・宮崎空港
・鹿児島空港
・那覇空港
航空法施行令
第五条 航空法第五十六条第一項の政令で定める空港は、釧路空港、函館空港、仙台空港、新潟空港、大阪国際空港、松山空港、福岡空港、北九州空港、長崎空港、熊本空港、大分空港、宮崎空港、鹿児島空港及び那覇空港とする。
【制限表面の調査等に関するリンク】
・国土交通省 「空港等設置管理者・空域を管轄する機関及び有人機運航団体等の連絡先について」
・国土交通省 東京航空局 「空港周辺における建物等設置の制限(制限表面)」
・国土交通省 大阪航空局 「空港周辺における建物等設置の制限(制限表面)」















