宅地建物取引業法

重要事項説明における幹線道路の沿道の整備に関する法律(沿道整備法)の説明

重要事項説明で説明すべき内容

重要事項説明においては、幹線道路の沿道の整備に関する法律第10条に定められている沿道地区計画の区域内での建築行為等については届出が必要であることを説明しなければなりません。
宅地建物取引業法施行令第3条第1項第19号において定められています。

沿道地区計画の区域内において、土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築、その他政令で定める行為を行おうとする場合、行為に着手する日の30日前までに、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日等を市町村長に届け出なければなりません。

ただし、届出が必要なのは、沿道地区計画の区域内であっても、沿道再開発等促進区または沿道地区整備計画が定めれている区域に限定されています。
沿道地区計画の区域内であっても、届出が不要な場合があります。

重要事項説明書の記載例

重要事項説明書に記載する説明文の例をあげます。
実際には、届出だけでなく、条例による制限がある場合はその内容も追記しておくべきでしょう。

【記載例】
沿道地区計画の区域内において、土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築等を行おうとする場合は、行為に着手する日の30日前までに、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日等の事項を市長に届け出なければなりません。

主な沿道地区計画

日本全国を見て、沿道地区計画が都市計画に定められている地域は限定されています。
沿道地区計画の大半は、東京都内です。
環状7号線、環状8号線などの幹線の沿道に沿道地区計画が定められた地区があります。
東京都内の沿道地区計画では、建築物を新築、増改築などを行う場合に制限があります。
東京都以外の地域では、兵庫県尼崎市と三重県四日市市に沿道地区計画があります。

東京都の沿道地区計画

東京都の沿道地区計画は、次の12区に指定があります。

  • 大田区
  • 目黒区
  • 世田谷区
  • 杉並区
  • 中野区
  • 練馬区
  • 足立区
  • 板橋区
  • 北区
  • 葛飾区
  • 江戸川区
  • 品川区

東京都内で沿道地区計画の指定がある幹線道路(一部の地域)はつぎのとおりです。

  • 環状7号線
  • 環状8号線
  • 笹目通り
  • 目白通り
  • 中原街道
  • 国道4号線 日光街道
  • 国道254号線 川越街道

兵庫県尼崎市の沿道地区計画

尼崎市では、国道43号線沿いに次の5つの沿道地区計画が定められています。

  • 道意地区
  • 竹谷地区
  • 武庫川・元浜地区
  • 開明地区
  • 城内地区

尼崎市の沿道地区計画は、地区整備計画も沿道再開発等促進区も定められておらず、建築物の建築等に関する制限はなく、届出も不要です。
尼崎市のホームページの説明によると、建築物等に対する具体的な制限はないものの、建築に際しては沿道地区計画で定める方針に沿った計画等とするようにとの説明があります。
沿道地区計画で定める方針とは、「沿道の整備に関する方針」のことで、「土地利用に関する方針」と「道路交通騒音により生ずる障害の防止に関する方針」の2つの方針から成ります。

宅地建物取引業法施行令第3条第1項第19号によると、幹線道路の沿道の整備に関する法律第10条第1項、第2項に定める届出の必要があるときは、重要事項説明において説明をすることが義務付けられています。
尼崎市の沿道地区計画は届出は不要です。
条文どおりにとらえると、届出が不要なため、説明の必要はないと考えられます。

私は、尼崎市の沿道地区計画内の案件で重要事項説明書を作成する際、重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外の法令に基づく制限」欄の沿道整備法にチェックを入れ、地区整備計画も沿道再開発等促進区も定められておらず、具体的な制限が無いこと、沿道地区計画で定める方針に沿った計画にすることを説明するようにしています。

三重県四日市市の沿道地区計画

四日市市では、国道23号線沿いに「国道23号四日市地区沿道整備計画(沿道地区計画)」が定められています。
「国道23号四日市地区沿道整備計画(沿道地区計画)」と「四日市市沿道整備計画区域における建築物の構造に関する条例」により、建築物を新築、増改築などを行う場合に構造等の制限があります。

関係法令の条文

宅地建物取引業法施行令 第三条
(法第三十五条第一項第二号の法令に基づく制限)
十九 幹線道路の沿道の整備に関する法律(昭和五十五年法律第三十四号)第十条第一項及び第二項

幹線道路の沿道の整備に関する法律 第十条
(行為の届出等)
沿道地区計画の区域(第九条第四項第一号に規定する施設の配置及び規模が定められている沿道再開発等促進区又は沿道地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築その他政令で定める行為を行おうとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他の国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
三 国又は地方公共団体が行う行為
四 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為
五 都市計画法第二十九条第一項の許可を要する行為その他政令で定める行為
六 第十条の四の規定による公告があつた沿道整備権利移転等促進計画の定めるところによつて設定され、又は移転された次条第一項の権利に係る土地において当該沿道整備権利移転等促進計画に定められた土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築その他同条第二項第六号の国土交通省令で定める行為に関する事項に従つて行う行為

2 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち国土交通省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、その旨を市町村長に届け出なければならない。

菊池 英司

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一級ファイナンシャル・プランニング技能士
公認不動産コンサルティングマスター
宅地建物取引士

不動産分野を専門とするファイナンシャルプランナー。不動産FP。
個人向けに不動産投資、不動産有効活用、住宅購入・売却のアドバイス、セミナー等を行っているほか、売買契約書や重要事項説明書の作成、不動産調査等を不動産業者、不動産鑑定士、弁護士、税理士から受託している。
2008年から空き家・留守宅管理の専門サイト「留守宅どっとネット」を運営し、自ら空き家管理の実務も行う空き家管理人。

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